アルバイトの権限の逸脱

権限移譲のバランス

先ほど「過去にあったトラブルと同じ内容であれば次は確認しないで解決してしまってよい」と伝え、アルバイトの権限を広げていくと言いましたが、これを繰り返していくと、間違いなく現場での解決能力、判断力は上がっていきます。何かあれば電話をしてくるようにと教えていた場合、アルバイトからの電話がかかってこなくなります。ただし、それと同時に必ず起こるのは、権限を逸脱しているような勝手な判断をしてしまうという問題です。一番わかりやすいのは、お金のかかってしまうことを勝手に判断してしまうようなことです。「権限移譲」と「権限の制限」は、相反するものなのです。仕事を任せることで、どんどん報連相から離れていってしまう傾向があるのです。このバランスを取るのがもっとも難しいと言えるでしょう。

権限が逸脱していないかの判断

自分に与えられた権限が逸脱しているか否か?これを判断するには、何よりも経験が大切です。これは非常に難しい問題なので、具体的な例で考えてみましょう。例えば、あなたのお店が雑貨を扱うショップだったの場合です。お客様の購入した雑貨に不具合があったと電話が入りました。その雑貨は明日の友人の誕生日祝いで、プレゼントとして渡そうとしていたものです。さらに、電話をいただいた今日はお客様に時間がなく、ご来店いただけない状況です。またこれも電話でのお客様の話だけなので、本当に製品に不具合があったのかどうか、事実確認も取れていません。こんな時はどうしたら良いでしょうか?考えられる対応は2通りあります。それは「心からお詫び申し上げたうえで、返品か返金の対応をする」または「店舗の誰かが新しく同じものをお客様のご自宅か職場に持っていく」という対応です。

クレーム対応

この対応は、お店の考え方次第でどちらも正解ともいえる、非常に難しい選択であると思います。まず前者の対応は、お客様の立場で考えると、すっきり納得はいかないものの無難な対応であり、仕方がないとも感じます。また後者の対応は、お客様目線で考えたら素晴らしい対応であるものの、お店からするとちょっとサービス過剰ではないかという気もします。そして、この話は「明日まで」という差し迫った期限があるので、判断を先延ばしすることができないためこの問題をもっとも難しくさせています。この電話に対応したアルバイトは、お店の責任者であるあなたに電話をしてみたものの、大切な会議中であるために連絡がつかなかったのです。そのあとのアルバイトの対応によって、あなたはどんな反応をするでしょうか。

お客様目線での権限の逸脱をするタイプ

先ほどの例だけではまだ見えてこないことがあるので、もう1つだけ確認しなくてはいけないことがあります。それは、責任者に電話をして繋がらなかったあと、他の社員に確認をしたのか?ということです。ここでもし、他の社員にも連絡を試みて繋がらなかったのであれば、アルバイトの判断は正解だったといえるかもしれません。それならば、「連絡が取れなくて申し訳なかった…。だけど、完璧に対応してくれてありがとう!」と、アルバイトを褒めると思います。ただ、この対応自体があなたのお店の方針に合っていれば問題ないのですが、実はそこまではやり過ぎだった場合は手放しで褒めることはできません。あくまでも謝罪と感謝の気持ちを伝えたうえで、「伝えてなかったこちらの責任なんだけど…」という前置きをいれて、次回に取って欲しい行動を伝えます。